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環境省・永田綾室長によるご講演

ネイチャーポジティブをめぐる政策動向と企業の役割

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環境省 生物多様性主流化室の永田綾室長をお迎えし、「ネイチャーポジティブをめぐる政策動向と企業の役割 ~生物多様性保全の新たな潮流に備える~」と題したご講演をいただきました。

講演では、2023年に閣議決定された「生物多様性国家戦略 2023-2030」を起点に、2030年までに生物多様性の損失を止め反転させる「ネイチャーポジティブ」の実現に向けた国の政策展開が紹介されました。

また、2024年に公表された「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」についても解説があり、自然資本の保全を企業価値の基盤とし、新たなビジネス機会の創出につながることが示されました。

2025年7月に策定された「NPE戦略ロードマップ(2025-2030)」では、企業・金融機関・自治体など多様なステークホルダーに期待されるアクションが整理されていることも紹介され、日本企業のTNFD対応の進展状況では2025年7月時点で181社が統合開示を予定しており、アダプター数は世界最多を誇るとのことです。

制度面では、2025年度から本格運用される「自然共生サイト」支援証明書制度や、翌年4月施行の「地域生物多様性増進法」に基づく枠組みについて説明があり、企業が地域と連携しながら自然資本を守り活用するための仕組みが整いつつあることが示されました。

最後に「ネイチャーポジティブ経営は企業の成長と地域の価値向上の両立を可能にする。日本発のモデルを世界へ発信していきたい」と呼びかけられ、参加者に大きな示唆を与えるご講演となりました。

【環境省 永田室長】

ネイチャーポジティブ経済への移行は、企業・地域・金融機関など多様な主体が連携し、共に価値を創り出していく挑戦です。自然共生サイトの活用や、ネイチャーファイナンス、企業の情報開示を通じて、地域の自然資本を守りながら企業価値を高めることが重要です。まさに多様な関係者の共創の場として、自然共生・循環ビジネスコンソーシアムの今後の活動に大変期待しています。

国交省・守谷修課長補佐によるご講演
都市環境とまちづくりGXの最前線

国土交通省 都市局 都市環境課の守谷修課長補佐をお招きし、「都市の環境を巡る情勢とまちづくりGX」をテーマにご講演をいただきました。

講演では、都市が直面している大きな課題として「気候変動への対応」「生物多様性の確保」「ウェルビーイングの向上」の三つの視点が紹介されました。守谷氏は、2035年度に温室効果ガスを2013年度比で60%削減するという国の目標に触れ、都市緑化やヒートアイランド対策、雨水の浸透機能を活用した防災など、私たちの生活に直結する具体的な取り組みについて分かりやすくお話しくださいました。

また、生物多様性の確保に関しては、自然体験の減少が次世代の環境意識低下につながる「経験の消失」にも触れられました。都市においても計画的に緑地を整備し、子どもから大人まで自然にふれあう機会を増やしていくことが大切であると強調されました。

さらに、緑地が持つ役割は環境面にとどまらず、人々の心と体の健康を支える基盤であることも紹介され、緑のある空間がストレスの軽減やコミュニティの交流促進に寄与すること、そしてその結果としてウェルビーイングの向上につながることが示され、会場の参加者も大きくうなずいていました。

制度面では、令和6年の都市緑地法改正や新しい認定制度「TSUNAG(優良緑地確保計画認定制度)」についてご説明がありました。この制度は、国が民間や自治体の緑地整備の取り組みを評価・認定する仕組みで、国際的な基準とも連動し、ESG投資を呼び込む効果が期待されています。

最後に「人と自然が共生し、環境への負荷が小さく、誰もがウェルビーイングを実感できる都市」の実現を未来像として掲げられました。官民が連携し、多様な主体が一緒に取り組むことの重要性が改めて示され、参加者にとって都市の未来を考える大変有意義な機会となりました。

【国土交通省 守谷課長補佐】

近年、都市の緑地への期待がますます高まっていると感じています。例えば気候変動への適応策としては、緑陰の形成、雨水の貯留浸透などがありますし、生物多様性の観点からは、住民が身近に触れ合える場の提供などが期待されます。緑豊かで魅力ある都市づくりを進めていくためには、国や自治体の取組だけでは限界があり、様々な主体が連携していくことが重要です。今後のコンソーシアムの活動に期待しております。

パネルディスカッションの様子

高校生を含む満席の会場

運営協力 慶應義塾大学学生のみなさん

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セミナー冒頭 一ノ瀬教授講演

【コンソーシアム代表 一ノ瀬教授】

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が2010年に名古屋で開催され、日本では生物多様性という言葉が注目を集めるようになりました。しかし、気候変動に比べると広く危機感が行き渡っていると言える状況ではなかったと思います。それから15年が経ち、ネイチャーポジティブが当時と比較にならないぐらい脚光を浴びていると感じています。今回は環境省と国土交通省の関連施策を紹介いただきましたが、この動きを社会の変革にまでつなげるようにコンソーシアムとしても活動していきたいと考えています。

登壇者

スケジュール

17:30 開場

〈1部〉

18:00 慶應義塾大学 環境情報学部 一ノ瀬教授

18:10   環境省 自然環境局 自然環境計画課 生物多様性主流化室 永田室長

18:30 国土交通省 都市局 都市環境課 守谷課長補佐

18:50 10分休憩

〈2部〉

19:00 パネルディスカッション(質疑応答)

〈懇親会〉

19:30 懇親会 会場内にて実施

20:00 終了

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