慶應義塾大学SFC研究所
自然共生・循環ビジネスコンソーシアム
先進事例視察(スタディーツアー)in 鎌倉

2025年9月29日、自然共生・循環ビジネスコンソーシアム会員が参加し、鎌倉市において先進事例視察(スタディーツアー)が実施されました。
慶應義塾大学SFCリサイクリエーション鎌倉ラボにて、田中教授から自治体・大学・企業・市民が連携する「サーキュラーシティ鎌倉」の取り組みに関する講義があり、ラボで研究しているは3Dプリンタを活用した資源循環型のモノづくりや、ごみ収集AIカメラの活用など、地域の特性を生かした循環モデルが紹介されました。
視察後半には鎌倉広町緑地に移動し、ボランティアによる田んぼや森の管理、生態系保全の取り組みを視察しました。地域住民が協働し、自然・文化・資源の保全と利活用を両立させている現場を実際に確認することができました。
鎌倉は、中都市型サーキュラーシティの先行モデルとして、全国に展開可能な実践例を示しており、自然と都市が共存する持続可能なまちづくりの可能性を強く感じる視察となりました。




一ノ瀬 友博
Tomohiro Ichinose
自然共生・循環ビジネスコンソーシアム代表
慶應義塾大学 環境情報学部長・教授
コンソーシアムとして初めてのスタディーツアーでは、COI-NEXTのプロジェクトを鎌倉市で進めている環境情報学部田中浩也教授の鎌倉ラボと、そのプロジェクトの対象地の一つでもある広町緑地を訪問しました。COI-NEXTとは、国立研究開発法人科学技術振興機構が支援するプロジェクトで、大学等が中心となって未来のありたい社会像(拠点ビジョン)を策定し、その実現に向けた研究開発を推進するとともに、プロジェクト終了後も、持続的に成果を創出する自立した産学官共創拠点の形成を目指す産学連携プログラムです。鎌倉市では、田中先生を中心に慶應義塾大学の学部を跨がり多くの教員・学生が参画し、さらには他大学や研究機関からも多くの研究者が加わっている大学を挙げたプロジェクトです。私もメンバーの一人となっています。研究タイトルでは、「共生アップサイクル社会」を共創するとありますが、実に多くの研究領域に跨がり、最終的には新たなまちづくりを実現しようという壮大なプロジェクトです。半日という短い時間でしたが、その一端をご覧いただけたのではないかと思います。

小笠原 慎
Makoto Ogasawara
慶應義塾大学SFC研究所 所員
株式会社ファーストクラス 代表取締役社長
今回、コンソーシアムとして初のスタディツアーとなる 鎌倉市視察(鎌倉市役所・慶應ラボ・広町緑地) にご参加いただきました会員の皆様、お疲れ様でした。ラボでの田中教授のお話や緑地の現地視察を通じ、皆様それぞれに多くの気づきや学びがあったことと思います。鎌倉という地は伝統と文化が色濃く残る特殊な地域であり、昨今ではインバウンド需要も強く活気があり、独特で心地よい雰囲気を持っています。広町緑地は、23年前に市民の声を受けて市が開発を中止し、保全を決断した場所です。現地で伺った管理・維持のご苦労からも、今後50年、100年とこの自然を守り続けるためには、人々の善意だけでは限界があるという現実を見た気がします。人の手による外来種の駆除や倒木の除去、土砂の撤去など 積極的な関与が必要であることを実感するともに、「自然を自然のまま残す」「環境を保全する」など、自然共生のあり方が問われていると強く感じた瞬間でした。
今後、もとの自然や生態系を維持・復元していくためには、自治体・企業・市民がそれぞれの役割を果たしながら、持続可能な仕組みを構築することが不可欠であるとともに、人材面、資金面、環境面などさまざまな課題があると感じました。今回の視察は、そういった課題を認識する第一歩となる貴重な機会だったと思います。
コンソーシアムでは今後もセミナーやスタディツアー等を通じて産官学連携を強化し、会員の皆様と活動をしていきたいと思います。ご興味のある方は法人・個人での会員を募集しておりますので、お気軽にお問い合わせください。一緒に取り組んでいきましょう。